
5月3日、天皇賞・春(G1)が京都競馬場で開催された。新型コロナウイルスの影響で無観客開催が続いているが、レースは非常に熱いものとなった。勝利したのはフィエールマン(牡5 美浦/手塚貴久厩舎)で史上5頭目の連覇。鞍上C.ルメール騎手は史上初の天皇賞4連覇を達成した。2着にスティッフェリオ、3着にはミッキースワローが食い込んだ。
レースはスタートでダンビュライトがハナを奪い、スティッフェリオが続く形で始まった。が、1周目の正面スタンド前で、武豊騎手の抑えが効かないまま3番手キセキが暴走気味に先頭に。そのまま単騎逃げのレースとなる。人気のフィエールマン、ユーキャンスマイルは中団でレースを進めた。
最後の直線でもキセキは一定のリードを保ったまま。一瞬このまま逃げ切るか、と思われたが、インで脚を溜めていたユーキャンスマイル、3番手の好位置をキープしていたスティッフェリオ、外からフィエールマンとミッキースワローが脚を伸ばし、キセキは飲み込まれる。
残り200mで抜け出したのはスティッフェリオだったが、最後の最後でディフェンディングチャンピオンが鋭い脚を見せ猛追。最後の最後までスティッフェリオが前を譲らなかった、ゴールと同時にフィエールマンの鼻先が前に出て勝負あり。見事に連覇達成となった。
1番人気に応えたフィエールマン。ファンとしては最後までハラハラドキドキな展開だったが、これぞフィエールマンの「真骨頂」ともいえる。レースを見た記者が語る。
偉大過ぎるステイヤーに肩並べる
「フィエールマンはこれまで菊花賞、天皇賞・春(2回)と長距離G1を3勝していますが、いずれも接戦でした。最後の直線での一騎打ちで常に先頭を譲りませんでした。併せ馬に持ち込むと闘争心に火がつくタイプなのかもしれません。
鞍上のルメール騎手も天皇賞4連覇の大偉業達成ですが、フィエールマンもキタサンブラック、フェノーメノ、テイエムオペラオー、メジロマックイーンという歴史的ステイヤーに肩を並べました。この馬が本質的にステイヤーかどうなのかは議論が分かれるところですが、お見事という他ありませんね」
まだトータル10戦目。今回の参戦も昨年の有馬記念から4カ月空いてのもの。まだまだフレッシュな状態で競走生活を送れる違いない。
となると、やはり来年は「次なる大偉業」を狙うということになるのだろうか。前述の記者が続ける。
ルメール「6連覇」フィエールマン「3連覇」も視野
「メジロマックイーンが挑戦しライスシャワーに阻止された『天皇賞・春3連覇』ですね。この偉業に挑める馬は20年に一度といっても過言ではなく、ぜひとも挑戦してほしいですね。競走歴が少ないフィエールマンなら、6歳でも能力を持続できる可能性は十分あるでしょう。
また、ルメール騎手にも『記録継続』の可能性が。今年の天皇賞・秋も勝利すれば、来年の春には『天皇賞6連覇』という空前絶後の記録に挑むことになるかもしれません。ルメール騎手には昨年の天皇賞・秋を制したアーモンドアイがいますし、昨年は圧倒的な強さで勝利しました。今年も強さが持続しているのなら、可能性は十分あります」
ルメールとフィエールマンの伝説は、まだ始まったばかり?
(文・取材=権藤正一/競馬担当)